30秒でわかる結論
供花を辞退する葬儀で寄付を扱う場合は、まず「供花を辞退すること」と「寄付をどう扱うか」を分けて考えます。遺族が香典返しやお花料のお返しに代えて寄付する形は比較的説明しやすい一方、参列者に寄付をお願いする表現は、受け手によって負担に感じられることがあります。

そのため、訃報や案内では供花・供物は辞退する旨を明確に伝えることを優先し、寄付については「故人の遺志により、遺族にて〇〇へ寄付いたします」「ご賛同いただける方のみ、無理のない範囲でお願いします」のように、任意性が伝わる表現にします。迷う場合は、親族代表、葬儀社、寄付先団体に確認してから案内文を整えるのが安全です。
| 場面 | 伝え方の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 供花だけ辞退する | 「御供花につきましては辞退申し上げます」 | 香典・供物も辞退するならまとめて明記する |
| 遺族が返礼に代えて寄付する | 「香典返しに代え、遺族より寄付いたしました」 | 会葬者に事後報告の礼状を出す |
| 参列者にも寄付を案内する | 「ご賛同いただける場合のみ」 | 強制や金額指定に見えない文面にする |
| 参列者側が代わりに寄付したい | まず遺族の意向を尊重する | 供花辞退を「寄付なら可」と解釈しない |

供花辞退と寄付は同じ意味ではない
「供花を辞退します」と連絡があった場合、それは基本的に供花を受け取らないという意思表示です。そこから自動的に「寄付なら送ってよい」「香典ならよい」と読み替えるのは避けた方がよいでしょう。遺族は会場スペース、返礼の負担、故人の遺志、家族葬の静かな進行など、さまざまな理由で供花を辞退していることがあります。
寄付は弔意を社会的な支援につなげる方法ですが、葬儀の場では人によって受け止め方が異なります。特に、故人や遺族と寄付先の関係が分かりにくい場合、参列者が「いくら寄付すればよいのか」と悩むこともあります。案内するなら、寄付先、趣旨、任意であることを簡潔に示す必要があります。
遺族側が案内文を作るときの判断
遺族側の基本方針は、最初に辞退範囲を決めることです。供花だけ辞退するのか、供物、香典、弔電も辞退するのかで文面が変わります。たとえば供花だけ辞退するなら「御供花につきましては、誠に勝手ながら辞退申し上げます」で足ります。香典や供物も受け取らない場合は、「御香典・御供花・御供物は辞退申し上げます」と明確に書く方が誤解を防げます。
寄付を行う場合は、次の三つを決めてから案内します。
- 寄付は遺族が行うのか、参列者にも任意で案内するのか
- 寄付先の正式名称、受付方法、領収書や礼状の扱い
- 葬儀前に知らせるのか、葬儀後の礼状で報告するのか
もっとも穏当なのは、葬儀前には供花辞退のみを伝え、葬儀後に「香典返しに代えて寄付しました」と礼状で報告する形です。参列者に直接寄付を案内する場合は、金額を指定せず、寄付しない人が肩身の狭い思いをしない文面にします。
そのまま使いやすい文例
供花を辞退し、寄付は遺族が行う場合
このたびの葬儀に際しましては、誠に勝手ながら御供花・御供物は辞退申し上げます。故人の遺志により、皆様からのお気持ちは遺族にて〇〇への寄付という形で大切に生かしてまいります。何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
この文例では、参列者に寄付を求めていません。供花辞退の理由を詳しく説明しなくても、「故人の遺志」「遺族にて」という言葉で、遺族側の判断であることが伝わります。
参列者にも任意で寄付先を知らせる場合
誠に勝手ながら、御供花・御供物は辞退申し上げます。なお、故人が生前支援しておりました〇〇への寄付を希望される方には、下記窓口をご案内しております。ご厚志はあくまで任意でございますので、どうぞご無理のない範囲でお考えください。
この形では、寄付を「お願い」ではなく「案内」にとどめることが大切です。寄付先のURLや振込先を載せる場合も、葬儀社や寄付先団体に確認し、誤記がないようにします。
葬儀後の礼状で寄付を報告する場合
亡〇〇儀に際しましては、ご丁重なるご厚志を賜り、厚く御礼申し上げます。故人の遺志により、香典返しに代えまして、遺族より〇〇へ寄付いたしました。略儀ながら書中をもちましてご報告かたがた御礼申し上げます。
寄付団体によっては、香典返しに代える礼状のひな形や封筒を用意している場合があります。日本赤十字社や国境なき医師団なども、香典・お花料からの寄付に関する案内を公開しています。利用する場合は、団体ごとの手続き、礼状発行、領収書の宛名を確認しましょう。
参列者側が返信するとき
御供花辞退の旨、承知いたしました。ご遺族のお考えを尊重し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。何かお手伝いできることがございましたら、どうぞお知らせください。
参列者側は、供花を辞退されたからといって、独自判断で別の品物や寄付を送る必要はありません。何かしたい場合は、弔電、後日の手紙、落ち着いてからの弔問など、遺族の負担になりにくい方法を選びます。
NGになりやすい表現
避けたいのは、寄付をしない人を責めるように読める表現です。「供花の代わりに必ず寄付してください」「一口〇円以上でお願いします」「故人のためにご協力ください」といった文面は、善意の依頼であっても圧を感じさせることがあります。
また、供花辞退の案内に寄付先だけを大きく載せると、葬儀の連絡より寄付募集が主目的に見えることがあります。訃報連絡では、葬儀の形式、参列可否、辞退するもの、連絡先を簡潔に示し、寄付は必要最小限の説明にとどめます。
寄付先の選び方にも配慮が必要です。政治性や宗教性が強く見える団体、親族間で意見が割れそうな団体を案内する場合は、事前に近い親族へ説明しておきます。故人が生前支援していた団体、地域福祉、医療・災害支援など、趣旨が伝わりやすい寄付先を選ぶと理解されやすくなります。
地域差・親族差で迷うとき
供花や供物を重視する地域では、辞退の連絡をしても親族や仕事関係から供花が届くことがあります。会場で受け取りを断ると相手の面目をつぶす場合もあるため、葬儀社には事前に「供花辞退の連絡が来た場合の対応」「届いてしまった場合の扱い」を共有しておきます。
親族の中に「供花は故人への礼儀」と考える人がいる場合は、寄付に置き換える理由を先に説明します。全員を完全に納得させる必要はありませんが、喪主の独断に見えないよう、故人の遺志、会場事情、返礼負担の軽減など、実務上の理由を共有すると摩擦を減らせます。
参考情報・確認先
香典やお花料からの寄付については、寄付団体が専用ページや礼状対応を用意していることがあります。代表例として、日本赤十字社の「お香典からのご寄付」や、国境なき医師団の「お香典・お花料からの寄付」があります。実際に利用する際は、最新の受付方法、領収書、礼状、税制上の扱いを各団体に確認してください。
供花辞退の文面は、葬儀社が会葬案内や訃報連絡の形式に合わせて整えてくれることもあります。案内文を自作する場合でも、最終的には葬儀社と親族代表に確認してから送ると安心です。

