30秒でわかる結論
香典返しの挨拶状は、「香典へのお礼」「忌明け・法要を終えた報告」「返礼品を送ること」「略儀であるお詫び」「差出人」を入れれば形になります。 文章は長くしすぎず、故人との続柄、法要の区切り、宗教に合う言葉を整えることが大切です。
よくある失敗は、家族葬の事後報告、会葬礼状、香典返しの挨拶状を混同することです。香典返しに添える挨拶状は、香典や供花などへのお礼と、忌明け後の返礼を伝えるための文面です。郵便局の法要挨拶状サービスでも、忌明けのお礼状を香典返しに添える用途として扱っています。
| 用途 | 送る相手 | 主な内容 | 送る時期の目安 |
|---|---|---|---|
| 香典返しの挨拶状 | 香典・供花・供物をいただいた人 | お礼、忌明け報告、返礼品の案内 | 忌明け後、返礼品と一緒に |
| 会葬礼状 | 葬儀に参列した人 | 会葬へのお礼 | 葬儀当日または直後 |
| 家族葬の事後報告 | 葬儀に呼ばなかった人 | 逝去と家族葬実施の報告 | 葬儀後なるべく早め |
| 法要案内状 | 法要に招く人 | 日時、場所、出欠確認 | 法要の数週間前 |

香典返しの挨拶状に入れる基本構成
香典返しの挨拶状は、文章の美しさよりも、必要な情報が過不足なく入っているかが重要です。基本構成は次の通りです。
- 頭語を入れる場合は「謹啓」などから始める
- 故人の続柄と名前を入れる
- 香典や供花などへのお礼を述べる
- 忌明け法要、四十九日、満中陰などの区切りを報告する
- 供養のしるしとして返礼品を送ることを伝える
- 書面での挨拶になることを詫びる
- 日付、喪主名または遺族名を書く
伝統的な挨拶状では句読点を入れない慣例があります。これは「滞りなく進む」意味合いで説明されることが多いものです。ただし、最近は読みやすさを重視した柔らかい文面も使われます。印刷会社や百貨店の文例を使う場合でも、故人名、続柄、差出人、法要日だけは必ず確認してください。
そのまま整えやすい基本例文
次の例文は、仏式の四十九日法要を終え、香典返しを送る一般的な文面です。実際には、戒名を入れるか、俗名だけにするか、親族の意向に合わせて調整します。
謹啓
先般 亡父 ○○○○ 永眠の際には
ご丁重なるご弔意とご芳志を賜り 誠にありがたく厚く御礼申し上げます
おかげをもちまして 七七日忌の法要を滞りなく営むことができました
つきましては供養のしるしとして心ばかりの品をお届けいたします
どうぞお納めくださいますようお願い申し上げます
本来であれば拝眉のうえ御礼申し上げるべきところ
略儀ながら書中をもちまして御礼かたがたご挨拶申し上げます
敬具
文例を使うときは、故人との続柄を「亡父」「亡母」「亡夫」「亡妻」などに直します。会社関係者へ送る場合は、故人のフルネームを入れたほうが分かりやすいことがあります。
家族葬後に香典返しを送る場合
家族葬では、葬儀を近親者のみで行ったことを後から知らせる場合があります。この「事後報告」と、香典返しに添える挨拶状は役割が異なります。香典をいただいた相手へ返礼品を送るなら、香典返しの挨拶状として、お礼と返礼品の案内を中心に書きます。
このたび 亡母 ○○○○ 永眠に際しましては
ご丁重なるご厚志を賜り 心より御礼申し上げます
葬儀は故人の遺志により近親者のみにて相済ませました
ご連絡が遅くなりましたことを深くお詫び申し上げます
おかげさまで忌明けの法要も滞りなく営むことができました
つきましては供養のしるしとして心ばかりの品をお送りいたします
略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます
家族葬では「お知らせしなかったことへのお詫び」を入れるかどうかが悩みどころです。故人や遺族の意向で近親者のみとした場合は、過度に謝りすぎず、報告と感謝を落ち着いて伝える文面にします。
宗教別に変える言葉
宗教によって、使いやすい言葉が少し変わります。三越伊勢丹グループの返礼挨拶状解説でも、仏式では「永眠」、神式では「帰幽」、キリスト教式ではカトリックの「帰天」やプロテスタントの「召天」などの違いが紹介されています。
| 形式 | 使いやすい表現 | 法要・節目の表現 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 仏式 | 永眠、七七日忌、供養 | 四十九日、満中陰 | 宗派で言葉が異なる場合あり |
| 神式 | 帰幽、五十日祭 | 霊祭、祭日 | 「供養」より「謝意」「しるし」が無難 |
| キリスト教式 | 帰天、召天 | 追悼ミサ、記念式 | 教派により言葉を確認 |
| 宗教不明・無宗教 | 逝去、葬儀を終えた報告 | 諸事滞りなく相済ませました | 宗教語を控える |
宗教が分からない場合や、相手が幅広い場合は、「永眠」「供養」「成仏」などの宗教色が強い語を減らし、「逝去」「お礼」「心ばかりの品」「ご厚情への感謝」を中心にすると使いやすくなります。
遅れて送る場合の書き方
香典返しが遅れた場合は、言い訳を長く書くより、遅くなったことを短く詫び、感謝と返礼品の案内を丁寧に伝えます。
本来であれば早速御礼申し上げるべきところ
諸事に取り紛れ ご挨拶が遅くなりましたことをお詫び申し上げます
皆様のお心遣いに支えられ 忌明けの法要を滞りなく営むことができました
つきましては心ばかりの品をお届けいたしましたので
どうぞお納めくださいますようお願い申し上げます
遅れた理由を細かく説明すると、かえって重く感じられることがあります。相手が気にするのは、品物よりも「受け取った気持ちに対して遺族が感謝しているか」です。
書く前のチェックリスト
- 故人の続柄と名前は正しいか
- 香典、供花、供物、弔電など何に対するお礼か合っているか
- 四十九日、満中陰、五十日祭などの節目が宗教に合っているか
- 返礼品を「供養のしるし」「心ばかりの品」と表現しているか
- 差出人は喪主名、遺族一同、会社名など適切か
- 家族葬の報告文と混ざっていないか
- 句読点なしの形式にするか、読みやすい現代文にするか決めたか
NG例と直し方
「香典返しを送りますので受け取ってください」だけでは、感謝や忌明けの報告が不足します。「このたびはありがとうございました」だけでも、何に対するお礼か分かりにくい場合があります。
また、宗教が違う相手に「成仏」「供養」「往生」などを強く使うと違和感が出ることがあります。故人側の宗教に合わせるのが基本ですが、広い相手へ送る文面では、宗教を問わない言葉に整えると無難です。
返礼品の金額や内容を挨拶状に書く必要はありません。カタログギフトや品物を同封・別送する場合も、挨拶状では「心ばかりの品」とする程度で十分です。
よくある質問
挨拶状は手書きでなければ失礼ですか
手書きでなければ失礼という決まりはありません。香典返しは送付数が多くなることもあり、印刷の挨拶状を添えるのが一般的です。親しい相手には一筆箋を別に添えてもよいですが、すべてを手書きにしようとして遅れるより、忌明け後にきちんと届くことを優先しましょう。
香典を辞退したのにいただいた場合はどう書きますか
辞退していたにもかかわらず香典や供花をいただいた場合も、まずは感謝を伝えます。「ご辞退申し上げておりましたところ ご丁重なるご厚志を賜り」などと書くと、辞退の事情とお礼を両方伝えられます。返礼品を送るかどうかは、金額や相手との関係、親族の慣習に合わせて判断します。
メールやLINEで挨拶状の代わりにしてよいですか
親しい相手への取り急ぎのお礼なら、メールやLINEで気持ちを伝えることはあります。ただし、香典返しの品を送る場合は、品物に紙の挨拶状を添えるほうが丁寧です。会社関係者や目上の人、親族へは、略式の連絡だけで済ませず、返礼品と一緒に挨拶状を用意すると安心です。

