
30秒でわかる結論
葬儀当日に遺族宅の留守番を頼まれた場合、葬儀会場へ参列するわけでなければ、喪服は必須ではありません。ただし、弔問客や近所の人、親族が訪ねてくる可能性があるため、黒・紺・グレーなどの落ち着いた平服を選ぶのが無難です。
喪服を着るかどうかは、「そのまま通夜・葬儀へ移動する可能性があるか」「弔問客の対応をするか」「親族として表に立つ立場か」で変わります。服装以上に大切なのは、香典を預かるか、電話にどう答えるか、家の鍵や現金をどう扱うかを、事前に遺族と決めておくことです。
服装の早見表
| 状況 | 服装の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 近所の人として短時間留守番する | 黒・紺・グレーの地味な平服 | 派手な柄、ジーンズ、部屋着は避ける |
| 弔問客を玄関で迎える | 清潔感のあるダークカラーの平服 | カーディガンやジャケットがあると整う |
| 親族として頼まれた | 喪服または準喪服に近い服装 | 会場へ移動する可能性を確認する |
| 家事やお茶出しも頼まれた | 動きやすい地味な服装 | 必要なら無地のエプロンを持参する |
| 仕事帰りに急きょ頼まれた | 可能な範囲で落ち着いた服装 | 派手な小物や香水を外す |
留守番の服装は「弔問客に会う前提」で考える
留守番は、葬儀に参列しないから普段着でよい、というよりも「遺族に代わって家にいる人」と考えると判断しやすくなります。自宅には、近所の人、故人の知人、親族、宅配、葬儀社からの連絡などが来ることがあります。玄関先だけの対応でも、あまりに普段着すぎると相手が戸惑うことがあります。
基本は、黒・紺・グレー・濃い茶などの控えめな色です。トップスは無地か目立たない柄、ボトムスは座っても乱れにくいものを選びます。女性なら黒や紺のブラウス、カーディガン、シンプルなパンツやスカート。男性なら白や淡色のシャツにダークカラーのジャケット、または落ち着いたニットなどが使いやすいです。
避けたいのは、赤や黄色など目立つ色、大きなロゴ、ダメージデニム、短すぎる丈、強い香水、派手なアクセサリーです。留守番は裏方ですが、弔問客から見ると遺族側に近い立場に見えるため、控えめに整えるのが安心です。
喪服を着たほうがよい場面
喪服が必要かどうかは、留守番の後に何をするかで変わります。留守番だけで一日終わるなら、地味な平服で足りることが多いです。一方で、遺族から「途中で会場へ来てほしい」「出棺だけ立ち会ってほしい」「親族が戻るまで弔問客を迎えてほしい」と言われているなら、喪服またはそれに近い服装を用意しておくと慌てません。
親族として頼まれた場合も、服装の格は少し上げて考えます。特に故人宅に弔問客が多く来る地域では、留守番役が香典や供物を預かることがあります。この場合は、遺族の一員に準じた見え方になるため、喪服があるなら着ておくほうが無難です。
ただし、喪服を着ていないことだけで失礼と決まるわけではありません。急な依頼、遠方からの到着直後、仕事の都合などもあります。大切なのは、遺族に「どの程度の服装で行けばよいですか」と事前に確認し、可能な範囲で控えめに整えることです。

持ち物は最小限でよいが、メモは必須
留守番の持ち物は多くありません。自分の数珠や香典を持って行くかは、参列や弔問を兼ねるかどうかで変わります。純粋な留守番なら、数珠は必須ではありません。ただし、玄関先で手を合わせる場面があるかもしれないため、不安なら持っておくと安心です。
実務上は、メモ帳と筆記具が重要です。誰が来たか、何を預かったか、電話で何を聞いたかを残しておくと、遺族が帰宅した後に確認しやすくなります。スマートフォンだけで記録すると、年配の親族に見せにくいことがあるため、紙のメモも便利です。
お茶出しや簡単な片付けを頼まれている場合は、無地のエプロンがあると服を汚しにくくなります。家の中で長時間過ごすなら、派手でない靴下や室内履きにも気を配りましょう。
香典を預かるかは事前に決める
留守番で最も迷いやすいのが香典対応です。弔問客が「ご仏前に」と持参した場合、留守番役が預かってよいのか、後日改めてもらうのか、会場へ案内するのかは家によって違います。
事前に確認したいのは、次の点です。
- 香典を受け取る方針か、辞退しているか
- 預かる場合、誰の名前で記録するか
- 現金をどこに保管するか
- 供物や花を受け取るか
- 弔問客を家に上げるか、玄関先で対応するか
香典を預かった場合は、封筒を開けず、氏名、住所、預かった時刻、品物の有無をメモします。現金を引き出しや仏間に置きっぱなしにせず、遺族から指定された場所にまとめます。判断に迷う来訪者があれば、「申し訳ありません。私は留守番を預かっている者ですので、戻りましたら遺族へ申し伝えます」と落ち着いて伝えれば十分です。
電話や来訪者への返答例
留守番役は、故人の死因や葬儀の詳しい事情を説明する立場ではありません。聞かれても、分からないことは分からないと伝え、遺族へ取り次ぐ形にします。
使いやすい返答例は次の通りです。
- 「本日は遺族が葬儀会場へ出ております。戻りましたらお名前とご用件を伝えます」
- 「詳しいことは私からは分かりかねますので、遺族へ申し伝えます」
- 「ご香典をお預かりするか確認しております。少々お待ちいただけますか」
- 「家族葬のため、弔問は控えていただくよう伺っております。お気持ちは遺族へ伝えます」
勝手に葬儀の日時や会場を広く伝えないことも大切です。家族葬や参列辞退の方針がある場合、善意で伝えた情報が遺族の負担になることがあります。
防犯と家の中での注意点
葬儀中の留守番には、防犯上の意味もあります。訃報や葬儀日程が外部に知られると、家が空く時間を狙われるリスクがあるためです。留守番を頼まれたら、玄関の鍵、勝手口、窓、現金、貴重品の場所を必要な範囲で確認します。
ただし、留守番だからといって家の中を自由に見てよいわけではありません。遺族から指定された部屋で過ごし、許可なく引き出しや仏間、寝室に入らないようにします。来訪者を室内に上げるかどうかも、必ず遺族の方針を優先してください。
不審な訪問者や営業、故人の知人を名乗る人が来た場合、無理に対応しないことが大切です。「遺族に確認してから改めます」と伝え、氏名と連絡先を聞く程度にとどめます。身の危険を感じる場合は、近所の人や警察へ相談して構いません。
遺族が留守番を頼む時に伝えること
遺族側は、「いてくれるだけでよい」と言いたくなりますが、頼まれた側は何をどこまでしてよいか分からず困ることがあります。最低限、次の内容を伝えておくと親切です。
| 確認項目 | 伝える内容 |
|---|---|
| 時間 | 何時から何時までいてほしいか |
| 服装 | 喪服が必要か、地味な平服でよいか |
| 来訪者 | 家に上げるか、玄関対応か |
| 香典 | 受け取るか、辞退するか、記録方法 |
| 電話 | 伝えてよい情報と控える情報 |
| 鍵・貴重品 | 触れてよい範囲、保管場所 |
留守番を頼む相手は、親族、近所の信頼できる人、親しい友人などが多いですが、プライベートな空間を任せることになります。感謝を伝えるだけでなく、負担が大きくなりすぎないよう、食事や休憩、帰宅時間も配慮しましょう。
NG例
留守番で避けたいのは、善意で判断しすぎることです。
- 派手な普段着や部屋着のまま弔問客に対応する
- 香典を預かる方針を確認せず受け取る
- 葬儀会場や日程を勝手に第三者へ伝える
- 故人の死因や家庭事情を説明する
- 家の中のものを許可なく動かす
- 弔問客を独断で仏間や居間へ通す
留守番役は、遺族の代わりに判断する責任者ではなく、遺族に正確につなぐ役割です。迷ったら保留し、記録して、帰宅後の遺族に渡す形で問題ありません。
地域差・家庭差の注意
葬儀中に自宅へ留守番を置くかどうかは、地域差があります。近所づきあいが濃い地域では弔問客が自宅へ来ることがあり、留守番役の役割も大きくなります。一方、都市部や家族葬では、葬儀会館に連絡を集約し、自宅には誰も来ない前提で進めることもあります。
また、香典辞退、供物辞退、弔問辞退の方針も家庭で異なります。留守番を頼まれた側は、一般論よりも遺族の意向を優先してください。分からないことは、その場で結論を出さず「確認してからご連絡します」とするのが安全です。

