30秒でわかる結論
法事のお供えには、慶事用の「のし」が付いた紙ではなく、弔事用の掛け紙を使うのが一般的です。表書きは品物なら「御供」「御供物」、現金を包むなら「御供物料」などが使われます。下段には、贈る側の名前を書きます。個人ならフルネーム、夫婦なら夫の姓名の左に妻の名、兄弟や親族でまとめるなら代表者名または「〇〇家」「兄弟一同」などが候補です。

もっとも大切なのは、相手が「誰からのお供えか」を迷わず確認できることです。表書きの正解探しだけに寄せるより、施主が整理しやすい名前にするほうが実務的です。地域や宗派によって水引の色、表書き、内のし・外のしの考え方が違うこともあるため、迷ったら購入店、親族、菩提寺、法要会場に確認しましょう。
表書き・名前の早見表
| 場面 | 表書きの目安 | 下段の名前 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 品物を持参 | 御供、御供物 | 贈り主のフルネーム | 外のしだと誰の供物か分かりやすい |
| 品物を郵送 | 御供、御供物 | 贈り主のフルネーム | 配送中の傷みを避けて内のしも検討 |
| 現金を包む | 御供物料、御仏前 | 贈り主のフルネーム | 香典とは別扱いで考える |
| 夫婦で贈る | 御供、御供物 | 夫の姓名+妻の名 | 関係性により夫婦連名にしない場合もある |
| 職場・団体 | 御供、御供物 | 会社名、部署名一同 | 人数が多いときは別紙で内訳を添える |
「のし」ではなく弔事用の掛け紙を選ぶ
日常会話では「法事のお供えにのしを付ける」と言いますが、厳密には慶事の飾りである熨斗が付いた紙は使いません。弔事では、水引と表書きだけの掛け紙を選びます。購入店で依頼するときは、「法事のお供え用の掛け紙でお願いします」と伝えると誤解が少なくなります。
水引は黒白や双銀がよく使われます。関西、中国、四国、九州の一部では黄白の水引を使う地域もあります。全国一律にどれが正しいと決めつけず、法事を行う地域や家の慣習に合わせるのが安全です。
また、品物そのものに掛け紙をかけてから包装する「内のし」と、包装紙の上から掛け紙をかける「外のし」があります。持参して仏前に供えるなら、誰からの品か分かりやすい外のしが便利です。郵送する場合は、掛け紙が破れたり汚れたりしないよう内のしにすることもあります。
表書きは「御供」「御供物」が使いやすい
法事のお供え物に使いやすい表書きは「御供」または「御供物」です。読み方は「おそなえ」「ごくもつ」とされることが多く、菓子折り、果物、線香、日用品などの品物に使いやすい表現です。
現金を包む場合は「御供物料」と書くことがあります。四十九日以降の仏式法要であれば「御仏前」も選択肢です。ただし、浄土真宗では葬儀の時点から「御仏前」を使う考え方があるなど、宗派により表現が変わることがあります。宗派が分からない、または親族内の慣習が強い場合は、施主側に合わせましょう。
「御霊前」は、四十九日前の弔事で使われることが多い表書きです。四十九日法要以降のお供え物では「御供」や「御仏前」を選ぶほうが無難です。ただし、神式やキリスト教では言葉が変わるため、仏式を前提にしすぎない注意も必要です。

下段の名前は「贈る側」が分かるように書く
掛け紙の下段には、法事のお供えを贈る側の名前を書きます。施主の名前ではありません。施主が後でお礼や記録を整理するためにも、名字だけで分かりにくい場合はフルネームが実務的です。
個人で贈る場合は、中央にフルネームを書きます。親族同士で名字が同じ人が多い場合や、遠方から郵送する場合は、同封の手紙や送り状にも住所と氏名を書いておくと親切です。
夫婦で贈る場合は、夫の姓名を中央に書き、左側に妻の名だけを添える書き方がよく使われます。夫婦それぞれが故人と深い関係にある、または妻側の親族の法事で妻の名をはっきり出したい場合は、夫婦のフルネーム連名にすることもあります。迷ったら、相手が見て分かりやすいことを優先します。
兄弟姉妹でまとめて贈る場合は、「兄弟一同」「子供一同」「孫一同」などが候補です。ただし、誰が含まれているか分かりにくい場合は、別紙に氏名を並べて同封します。法事後に施主がお礼や会計を整理する場面を考えると、連名の内訳が分かることは大切です。
職場や団体で贈る場合は、会社名、部署名、代表者名、「〇〇部一同」などを使います。会社名だけでは担当者が分からない場合は、送り状や同封カードに連絡先を入れます。掛け紙に長い部署名や多数の氏名を詰め込むと読みにくくなるため、掛け紙は代表表記、内訳は別紙に分けると整います。
連名の書き方で迷いやすいケース
三名程度までなら、目上の人を中央または右側にし、左へ順に名前を並べます。親族間では年齢順、兄弟順、関係の近さで並べることもあります。ただし、地域差や家の感覚があるため、親族の中で代表者がいるならその人に合わせるのが無難です。
四名以上になる場合、掛け紙に全員の名前を書くと窮屈になります。この場合は「〇〇一同」とし、別紙に氏名を記載します。別紙は品物の中に入れるより、施主が確認しやすい封筒や挨拶状に添えるほうが親切です。
子供や孫の名前を入れるかどうかも迷いやすい点です。祖父母の法事で孫一同として贈るなら「孫一同」でよい場合があります。未成年の子供を親の名前に添える必要は必ずしもありませんが、故人との関係が近く、誰からのお供えかを伝えたいなら、別紙に家族名を書いても構いません。
品物を持参するときと郵送するときの違い
持参する場合は、受付や仏前で誰からの供物か分かるよう、外のしが便利です。紙袋に入れて持って行き、渡すときは品物を出すか、紙袋ごと渡す場合でも「袋のままで失礼します」と一言添えます。仏前に供えるか、施主に渡すかは会場の流れに合わせます。
郵送する場合は、配送中に掛け紙が傷まないよう内のしを選ぶことがあります。法事の前日までに届くよう手配し、送り状だけではなく、短い手紙やカードを添えると丁寧です。表書きと名前が正しくても、法事当日の直前や終了後に届くと施主の確認負担が増えることがあります。
品物は、日持ちする菓子、線香、ろうそく、果物、飲料などが選ばれやすいです。生もの、強い香りのもの、持ち帰りにくい重いものは避けたほうがよい場合があります。会場で会食や引き出物がある法事では、持ち込み品の扱いも変わるため、事前に施主へ確認しましょう。
NG例と直し方
法事のお供えの掛け紙で避けたいのは、慶事用の熨斗付きの紙を選ぶことです。購入店で「のし」とだけ言うと、店員によっては用途確認をしてくれますが、必ずしも意図が伝わるとは限りません。「仏事用」「法事のお供え用」と伝えましょう。
表書きを空欄にするのも避けたいところです。表書きがないと、施主側で香典なのか供物なのか、返礼品なのかが分かりにくくなります。迷う場合は「御供」としておくと、多くの仏式法事で使いやすいです。
名前を名字だけにする場合も注意が必要です。親族に同じ姓が多いと、誰からの供物か分からなくなります。特に郵送では、フルネーム、住所、電話番号、関係性が分かる短い手紙を添えると丁寧です。
また、連名を増やしすぎて掛け紙に小さく書き込むと、見た目が整わず読みにくくなります。人数が多い場合は「一同」と別紙に分けましょう。
地域差・宗派差の注意
法事の掛け紙は、地域差が出やすい分野です。黒白の水引を使う地域もあれば、黄白を使う地域もあります。表書きも「御供」「御供物」「粗供養」「茶の子」「志」など、用途や地域で変わります。
この記事ではお供え物を贈る側の書き方を中心にしていますが、法事のお返しや引き出物では、施主側の名前や表書きの考え方が変わります。お供えと返礼品を混同しないようにしましょう。
神式やキリスト教の追悼行事では、仏式の「御仏前」が合わないことがあります。宗教が分からない場合は、無理に宗教語を使わず「御供」を選ぶか、先方に確認します。菩提寺がある家では、お寺や親族の慣習を優先してください。

