葬儀の日程、六曜(友引・仏滅など)はどう考える?迷信?それとも配慮?
大切な方を亡くされた悲しみの中で、葬儀の日程を決めることは、遺族にとって大きな負担となります。その日程を決める際に、「六曜(ろくよう)」を気にするべきか悩む方は少なくありません。特に、「友引(ともびき)」に葬儀を行うのは避けるべきだ、という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、六曜とは一体何なのでしょうか。そして、現代の葬儀において、その影響力はどれほどのものなのでしょうか。この記事では、葬儀と六曜の関係性について、その由来から現代における考え方、そして具体的な判断基準までを、分かりやすく解説していきます。

六曜とは?その起源と現代における意味
六曜とは、古代中国の占術に由来するとされる、先勝(せんしょう/さきがち)、友引(ともびき)、先負(せんぷ/さきまけ)、仏滅(ぶつめつ)、大安(たいあん)、赤口(しゃっこう/しゃっく)の6つの暦注のことを指します。これらは、それぞれその日の吉凶や、何事を行うのに良い日・悪い日を示すものとして、古くから人々の生活に取り入れられてきました。
それぞれの六曜には、以下のような意味合いがあるとされています。
- 先勝(せんしょう/さきがち): 「先んずれば勝つ」という意味で、何事も急いで行うのが良いとされる日。午前中は吉、午後は凶とされることが多いです。
- 友引(ともびき): 元々は「共引(ともびき)」と書き、「引き分け」という意味で、勝負事がない日とされていました。しかし、後に「友を引く」という字面から、「友を冥土に引き連れていく」という迷信が生まれ、葬儀や結婚式など、慶弔事には不向きとされるようになりました。特に、葬儀においては、火葬場が休業日となっている場合も多く、一般的に避けるべき日とされています。
- 先負(せんぷ/さきまけ): 「先んずれば負ける」という意味で、何事も控えめに、静かに行うのが良いとされる日。午前中は凶、午後は吉とされることが多いです。
- 仏滅(ぶつめつ): 六曜の中で最も凶日とされ、「仏も滅するような日」という意味合いから、あらゆることに凶とされています。しかし、これはあくまで字面からの連想であり、本来は仏教とは無関係な占術に由来します。
- 大安(たいあん): 「大いに安し」という意味で、一日を通して吉とされ、何事を行うにも良い日とされています。結婚式など、慶事には好んで選ばれる日です。
- 赤口(しゃっこう/しゃっく): 「赤舌日(あかしたび)」とも呼ばれ、火や刃物、血などを連想させるため、万事に凶とされる日。ただし、午の刻(午前11時頃から午後1時頃まで)のみ吉とされています。
このように、六曜はそれぞれ異なる意味合いを持ち、人々の行動指針として用いられてきました。しかし、これらの意味合いが、現代の葬儀においてどのように解釈され、影響を与えているのでしょうか。
葬儀と六曜の関係性:迷信か、それとも配慮か
六曜が葬儀の日程に影響を与える背景には、いくつかの要因があります。
1. 「友引」を避ける理由:迷信と火葬場の休業日
「友引」を葬儀で避けるべきという考え方は、前述した「友を連れていく」という迷信に端を発しています。これは、故人を送る悲しみの中で、さらに縁のある人を失うことを恐れる、あるいは避けたいという心情から生まれたものと考えられます。
しかし、迷信という側面だけでなく、より現実的な理由として、多くの地域で「友引」は火葬場が休業日となっていることが多いという事実があります。火葬場が稼働していないため、友引に葬儀を執り行っても火葬ができない、という物理的な問題が生じるのです。そのため、火葬場の予約状況を考慮すると、自然と友引は葬儀の日程から外されることが多くなります。
このように、「友引」を避けるという風習は、迷信的な要素と、火葬場の休業日という現実的な制約が複合的に作用した結果と言えるでしょう。
2. 「仏滅」の扱い:弔事との関連性
「仏滅」は、字面から「仏が滅する」と連想されるため、葬儀には不向きだと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、仏教の教えとは本来無関係であり、あくまで六曜という暦注の一つです。
むしろ、仏滅を「物滅」と捉え、古いものを終わらせて新しい始まりを迎える日と解釈することもできます。この考え方に基づけば、弔事、つまり故人を偲び、古い縁を断ち切って新たな人生を歩み始める儀式である葬儀には、むしろ適している、あるいは問題ないという見方もできます。
実際、近年では仏滅を葬儀に選ぶ方も増えています。これは、六曜に対する考え方が変化してきていること、そして何よりも火葬場や葬儀場の空き状況などを優先する現実的な判断が重視されるようになってきたことを示唆しています。
3. その他の六曜(先勝、先負、大安、赤口)
先勝、先負、大安、赤口といった他の六曜については、一般的に葬儀との直接的な関連性は低いとされています。
- 先勝・先負: これらの日は、午前か午後かで吉凶が分かれるため、葬儀の日程として特に忌避されることは少ないでしょう。
- 大安: 結婚式などの慶事には好んで選ばれる日ですが、弔事においては特に不向きというわけではありません。しかし、大安は縁起の良い日と広く認識されているため、あえて避ける方もいれば、特に気にしない方もいます。
- 赤口: 万事に凶とされる日ですが、午の刻のみ吉とされていることから、時間帯を選べば問題ないとする考え方もあります。しかし、一般的には葬儀にはあまり選ばれない傾向があります。
総じて、これらの六曜が葬儀の日程に大きな影響を与えることは少ないと言えます。
宗教との関係性:六曜は本来無関係
ここで重要なのは、六曜は特定の宗教、特に仏教とは本来無関係であるということです。六曜は、あくまで古代中国の占術や暦の習慣に由来するものであり、仏教の教義とは何ら結びついていません。
仏教では、故人を供養し、冥福を祈ることが大切であり、特定の暦注によってその功徳が変わるという考え方はありません。神道やキリスト教といった他の宗教においても、六曜は重視されません。
しかし、長年の風習として、特に日本においては六曜が人々の意識に深く根付いているため、葬儀の日程を決める際に、無意識のうちに、あるいは周囲への配慮から、六曜を気にする方が多いのが現状です。
現代における葬儀の日程決定:現実的な要素の優先
現代社会において、葬儀の日程を決定する上で、六曜よりも優先されるべき現実的な要素がいくつかあります。
1. 火葬場・葬儀場の予約状況
何よりもまず、火葬場と葬儀場の空き状況が、葬儀の日程を決定する上で最も重要な要素となります。特に都市部では、火葬場が大変混み合っており、希望する日に予約が取れないことも珍しくありません。
友引に火葬場が休業日であっても、どうしてもその日に葬儀を行いたい場合、火葬場の休業日を避けるために、友引の翌日以降に火葬となることもあります。また、地域によっては友引でも火葬場が稼働している場合もありますので、事前に確認が必要です。
2. 親族・参列者の都合
葬儀には、故人の親族や友人、知人など、多くの方が参列されます。参列者の多くが遠方からいらっしゃる場合や、仕事などの都合で参加が難しい方が多い場合、その方々の都合を考慮することも、遺族の大切な配慮となります。
特に、忌明け法要などを併せて行う場合、参列者の移動や宿泊なども含めて、日程を調整する必要があります。
3. 故人の遺志の尊重
故人が生前に、葬儀について何か希望を伝えていた場合、それを尊重することが最も大切です。六曜について特別な考えを持っていたり、あるいは全く気にしない方であったりしたかもしれません。故人の遺志を汲み取り、それに沿った形で葬儀を執り行うことが、故人への何よりの供養となるでしょう。
場面別の考え方と注意点
それでは、具体的な場面ごとに、六曜との付き合い方を考えてみましょう。
1. 「友引」に葬儀を行いたい場合
「友引」に葬儀を行わざるを得ない、あるいは行いたいという場合、いくつかの選択肢があります。
- 火葬場の確認: まず、利用する火葬場が友引に稼働しているかを確認してください。稼働していれば、迷信的な側面を気にしないのであれば、問題なく葬儀を執り行えます。
- 「友引人形」の風習: 地域によっては、友引に葬儀を行う際に、棺の中に「友引人形」と呼ばれる人形を一緒に入れることで、故人が友を連れていくのを防ぐという風習があります。もし、この風習が残っている地域であれば、親族に相談してみるのも良いでしょう。
- 親族・関係者への確認: 友引に葬儀を行うことについて、親族や近しい方々に事前に相談し、理解を得ておくことも大切です。
2. 「仏滅」に葬儀を行うことについて
前述したように、仏滅は弔事には問題ない、あるいは適しているという考え方もあります。字面から連想されるイメージで避けたいという方がいらっしゃるかもしれませんが、宗教的な根拠はありません。
もし、仏滅に火葬場や葬儀場の空きがあり、日程的に都合が良いのであれば、積極的に選択肢の一つとして考えても良いでしょう。むしろ、大安などの縁起の良い日を避けることで、故人を静かに見送りたいという考え方もあります。
3. 六曜を気にしない、あるいは軽視する傾向
近年、特に若い世代を中心に、六曜をあまり気にしない、あるいは全く気にしないという方が増えています。これは、個人の価値観の多様化や、葬儀の形式も多様化していることの表れと言えるでしょう。
もし、ご自身やご家族が六曜を気にしないのであれば、無理に六曜に縛られる必要はありません。火葬場や葬儀場の予約状況、親族の都合などを最優先に、最適な日程を決めてください。
葬儀社との連携の重要性
葬儀の日程調整は、遺族にとって精神的にも肉体的にも負担の大きい作業です。このような時、葬儀社は頼れるパートナーとなります。
葬儀社は、火葬場や葬儀場の空き状況を熟知しており、スムーズな予約手配をサポートしてくれます。また、六曜について気になる点があれば、その由来や現代における一般的な考え方などを丁寧に説明し、遺族の不安を軽減してくれるでしょう。
「友引に葬儀を行いたいが、火葬場が休業日らしい」といった具体的な疑問や、「仏滅は避けた方が良いのか」といった漠然とした不安についても、葬儀社に相談することで、的確なアドバイスを得ることができます。
最終的な判断は「故人への想い」と「現実的な都合」
六曜は、あくまで古くから伝わる風習や迷信に基づくものです。現代の葬儀においては、その影響力はかつてほど絶対的なものではなくなってきています。
最も大切なのは、故人を偲び、心からのお別れをするための最善の日程を決めることです。そのためには、
- 故人の遺志や意向
- 親族や親しい方々の都合
- 火葬場・葬儀場の予約状況
- そして、ご自身の心境
これらの現実的な要素を総合的に考慮することが重要です。
六曜に縛られすぎず、かといって完全に無視するのではなく、あくまで参考の一つとして捉え、後悔のない、故人への感謝と敬意を込めた葬儀を執り行えるよう、冷静に判断していきましょう。
もし、六曜について不安や疑問がある場合は、遠慮なく葬儀社に相談してみてください。専門家のアドバイスを受けながら、故人との最後のお別れにふさわしい、心温まる葬儀を執り行うことができるはずです。

