【ミディアムヘアの方向け】葬儀にふさわしい髪型マナー|清潔感と落ち着きを演出する基本から応用まで
葬儀・告別式という、人生において最も厳粛な場に臨む際、身だしなみは故人への敬意、そして遺族への配慮を示す重要な要素です。服装はもちろんのこと、髪型もその一つとして、静かに、しかし確かに、その人の「心持ち」を物語ります。特にミディアムヘアは、アレンジの幅が広い一方で、どのようなスタイルが適切か判断に迷う方も少なくありません。
「顔周りの髪が邪魔にならないようにしたい」「急な訃報で、どう整えれば良いかわからない」「派手に見えないか心配」――こうしたお悩みをお持ちの方へ、この記事では、ミディアムヘアの方向けに、葬儀にふさわしい髪型マナーの基本から、具体的なアレンジ方法、そして避けるべきスタイルまでを、分かりやすく解説いたします。故人への哀悼の意を表し、ご遺族に安心していただけるような、落ち着きと清潔感のあるヘアスタイルを目指しましょう。

葬儀における髪型マナーの基本原則:なぜ「清潔感」と「顔周りのすっきり感」が重要なのか
葬儀の場では、華美な装飾や個性を主張するようなスタイルは控えるのが基本です。これは、故人を偲び、悲しみに寄り添うという目的に集中するための配慮であり、また、参列者同士が故人への想いを共有する場であるという認識に基づいています。
ミディアムヘアの場合、その長さゆえに、顔周りの髪が落ちてきたり、動きが出やすかったりすることがあります。これらは、参列者が故人を偲ぶことに集中する妨げになったり、だらしない印象を与えたりする可能性があるため、避けるべきとされています。
「清潔感」とは?:単に「汚れていない」だけでなく
清潔感とは、単に髪が汚れていない、ということだけを指すのではありません。具体的には、以下のような状態が含まれます。
- 寝癖がないこと: 前日、あるいは当日の朝にしっかりと寝癖を直すことは、最低限のマナーです。
- 髪のパサつきや広がりが抑えられていること: 乾燥してパサついたり、静電気で広がりすぎたりする髪は、整えられていない印象を与えます。無香料のヘアオイルなどを少量使い、落ち着かせる工夫をしましょう。
- きちんと整えられていること: 無造作ヘアや、意図的に崩したようなスタイルは避け、きちんと手入れされていることがわかるようにします。
「顔周りがすっきりしている」ことの重要性:お辞儀や焼香の際に配慮
葬儀では、お辞儀をしたり、焼香をしたりといった動作が頻繁にあります。その際に、髪が顔にかかってしまうと、動作がしにくくなるだけでなく、故人や遺族に対して失礼にあたる可能性があります。顔周りの髪が邪魔にならないように、しっかりとまとめることが重要です。
ミディアムヘアの具体的なアレンジ方法:基本の「ひとつ結び」から応用まで
ミディアムヘアの長さは、アレンジの幅が広い反面、どこまでが許容範囲か判断が難しいこともあります。ここでは、葬儀にふさわしい、具体的で実践的なヘアアレンジ方法をご紹介します。
1. 耳より低い位置での「ひとつ結び」:最も基本かつ万能なスタイル
ミディアムヘアの基本かつ最も推奨されるアレンジは、耳より低い位置で髪をひとつにまとめる方法です。
- ポニーテール: 後ろで、首の付け根あたりを目安に、髪をひとつに結びます。結ぶ高さは、ご自身の顔の形や、服装とのバランスを見て調整すると良いでしょう。高すぎるとカジュアルな印象になり、低すぎると重たい印象になることがあります。
- シニヨン/お団子: ひとつに結んだ毛束を、毛先を内側に折り込むようにして、お団子やシニヨンを作ります。この際、お団子の形が崩れないように、ピンでしっかりと固定することが重要です。後頭部でまとめることで、横顔もすっきりとした印象になります。
【ポイント】
- 結ぶ位置: 耳より下、首の付け根あたりが目安です。これは、慶事の「耳より上」という考え方とは対照的に、弔事では控えめにする、というマナーに基づいています。
- 結び方: 結び目が緩まないように、しっかりと結びます。ゴムは黒や紺などの落ち着いた色を選び、装飾のないものを使用しましょう。
- 毛先: 毛先が遊ばないように、結び目の中にしまい込んだり、ピンで留めたりして、きれいに収めます。
2. まとめきれない部分の処理:ピンを上手に活用する
ミディアムヘアの場合、特に顔周りや襟足の髪が落ちやすいことがあります。こうした部分は、目立たない黒のヘアピンを上手に使って固定しましょう。
- 顔周りの髪: サイドに流れてきやすい髪は、耳の後ろでピンで留めます。数本使って、しっかりと固定することが大切です。
- 襟足の髪: 後ろでひとつに結んだ際に、襟足の髪が落ちてくる場合は、こちらもピンで丁寧に留めます。
【ポイント】
- ピンの色: 必ず黒色のヘアピンを使用します。
- 留め方: ピンが外から目立たないように、毛束の下に差し込んだり、毛の流れに沿って留めたりするなどの工夫をしましょう。
3. 前髪の処理:顔にかからないように整える
前髪は、顔の印象を大きく左右する部分です。葬儀の場では、前髪が目にかかったり、顔にかかって邪魔になったりしないように、しっかりと整えることが大切です。
- 長めの前髪: サイドに流してピンで留めるか、短めにカットして、眉毛にかからないようにします。
- 短めの前髪: そのまま下ろすか、必要であれば軽くワックスなどで押さえて、顔にかからないようにします。
【ポイント】
- 自然な流れ: あえて斜めに流すなど、自然な流れを意識すると、重たい印象になりにくいです。
- 固定: ピンで留める場合は、目立たないように毛束の下に隠すように留めましょう。
避けるべき葬儀の髪型:NGスタイルを知っておく
基本を押さえた上で、葬儀の場にふさわしくない「避けるべき髪型」についても理解しておくことが重要です。これらを避けることで、より失礼のない身だしなみを心がけることができます。
1. ハーフアップ:カジュアルな印象になりがち
ハーフアップは、髪の一部だけをまとめるスタイルであり、どうしてもカジュアルな印象を与えがちです。特に、トップにボリュームを持たせたり、後頭部でふんわりとまとめたりするスタイルは、葬儀の場には不向きとされます。
2. 編み込み・三つ編み:華やかすぎる、あるいは子供っぽい印象に
複雑な編み込みや、可愛らしい印象の三つ編みは、葬儀の場には華やかすぎる、あるいは不謹慎な印象を与えかねません。たとえ黒いゴムで結んだとしても、デザイン性のある編み込みは避けるべきです。
3. サイドに流す髪型・顔周りの毛をあえて出すスタイル:だらしなく見える可能性
顔周りの髪をあえて無造作に流したり、サイドにボリュームを持たせたりするスタイルは、おしゃれな印象を与える反面、葬儀の場ではだらしなく見えたり、不謹慎な印象を与えたりする可能性があります。顔周りはすっきりとまとめるのが基本です。
4. 華やかな印象を与えるもの:ボリュームや動きのあるスタイル
全体的にボリュームがありすぎたり、動きが出すぎたりするスタイルは、華やかな印象を与えてしまい、葬儀の場にはふさわしくありません。落ち着いた、控えめなシルエットを意識しましょう。
髪色・ヘアアクセサリー・整髪料:細部への配慮が大切
髪型だけでなく、髪色、ヘアアクセサリー、そして整髪料の使い方にも注意が必要です。これらの細部への配慮が、全体の印象を大きく左右します。
髪色:基本は黒髪。やむを得ない場合は落ち着いた色で
基本的には、黒髪が最も葬儀の場にふさわしいとされています。しかし、急な訃報で黒染めが間に合わない場合もあるでしょう。
- 許容範囲: 明らかに明るい茶髪やカラーリングは避けるべきですが、落ち着いたダークブラウンなど、自然な髪色であれば、許容される場合もあります。
- 明るすぎる場合: やむを得ず明るい髪色の場合は、黒のスプレーなどで一時的に色を落ち着かせる、あるいは、ヘアアクセサリーで目立たなくするなどの工夫も考えられます。ただし、スプレーの使用は、髪質によっては不自然に見えることもあるため、目立たないように慎重に使用しましょう。
ヘアアクセサリー:黒無地・光沢なし・シンプルなデザインを
ヘアアクセサリーは、葬儀の場では極力使用しないのが望ましいですが、どうしても使用する必要がある場合は、以下の点に注意しましょう。
- 色: 黒無地が基本です。
- 素材: 光沢のないマットな素材を選びます。
- デザイン: シンプルで装飾のないものを選びます。
- 避けるべきもの:
- リボン、花飾り、パールなどの装飾がついたもの
- べっ甲や革製品(「殺生」を連想させるため)
- 金属製の光るもの
ヘアゴムも、黒や紺などの落ち着いた色で、装飾のないシンプルなものを選びましょう。
整髪料:無香料・艶を抑えるものを少量で
整髪料を使用する場合は、香りの強いものや、過度に艶が出るものは避けましょう。
- 香り: 無香料のものが基本です。香りのある整髪料は、他の参列者に不快感を与える可能性があります。
- 質感: 艶が出すぎない、マットな質感のワックスやジェルがおすすめです。髪の広がりを抑え、落ち着かせるために使用します。
- 量: 使用量はごく少量にとどめ、自然な仕上がりを目指します。つけすぎると、かえって不自然に見えたり、テカリが出たりすることがあります。
急な訃報で準備に時間をかけられない場合の対処法
突然の訃報に接し、身だしなみを整える時間がない、という状況は誰にでも起こり得ます。そのような場合でも、最低限のマナーを守るための簡単な対処法をご紹介します。
1. とにかく「ひとつ結び」を基本に
時間がなくても、まずは髪をひとつにまとめることを最優先しましょう。耳より低い位置で、首の付け根あたりを目安に、きれいに結びます。
2. 顔周りの髪はピンで固定
顔周りに落ちてくる髪は、黒いヘアピンでしっかりと留めます。数本使って、落ちてこないように丁寧に固定しましょう。
3. 寝癖はタオルで押さえる
寝癖がひどい場合は、霧吹きで軽く湿らせたタオルで押さえつけるようにして、形を整えます。その後、ドライヤーで乾かすと、ある程度落ち着かせることができます。
4. 髪が広がりやすい場合は、無香料のオイルを少量
髪が乾燥して広がりやすい場合は、無香料のヘアオイルを手のひらにごく少量取り、毛先を中心に馴染ませます。つけすぎるとテカリの原因になるので注意が必要です。
和装の場合の髪型:洋装とは異なる配慮
葬儀に和装で参列する場合、髪型にも洋装とは異なる配慮が必要です。
- まとめ髪: 基本的には洋装と同様に、顔周りをすっきりとまとめることが大切です。
- 高さ: 後ろで低めにまとめるのが一般的です。
- かんざしなどの装飾: 華美な装飾は避け、黒無地のシンプルなものを控えめに使用するのが良いでしょう。
- 結い方: 日本髪のような結い方は、現代の葬儀では一般的ではありません。現代風にアレンジしたまとめ髪が適切です。
迷った場合は、葬儀社や、経験のある方に相談することをおすすめします。
子供の髪型:大人とは異なる配慮
子供が葬儀に参列する場合、大人とは異なる配慮が必要です。
- 清潔感: 子供であっても、清潔感のある整えられた髪型であることが大切です。
- 簡潔さ: 複雑なアレンジや、キャラクターもののヘアアクセサリーなどは避け、シンプルにまとめます。
- 男の子: 前髪が目にかからないように、短めにカットするか、ワックスなどで押さえます。
- 女の子: 結べる長さであれば、耳より低い位置でひとつに結ぶのが基本です。顔周りの髪も、ピンでしっかりと留めます。
- ヘアアクセサリー: 黒や紺などの落ち着いた色の、シンプルなヘアゴムやピンを使用します。
子供が自分で身だしなみを整えるのは難しい場合もあるため、保護者の方が責任を持って整えてあげましょう。
まとめ:故人への敬意と遺族への配慮を胸に
葬儀におけるミディアムヘアの髪型は、「清潔感」「顔周りのすっきり感」「控えめさ」という3つのキーワードを軸に考えると、迷うことが少なくなるでしょう。華やかさや個性を主張するのではなく、故人への敬意と、遺族への配慮を最優先にした身だしなみを心がけることが何よりも大切です。
急な訃報で慌ただしい状況かもしれませんが、この記事でご紹介した基本的なマナーやアレンジ方法を参考に、落ち着きのあるヘアスタイルで、故人との最後のお別れに静かに寄り添ってください。もし、判断に迷う場合は、周囲の方や葬儀社に相談することも、安心につながるでしょう。

