
30秒でわかる結論
年金を受けていた家族が亡くなったときは、まず年金の支給を止める手続きと未支給年金を受け取れるかを分けて確認します。日本年金機構に亡くなった方のマイナンバーが収録されている場合、年金受給権者死亡届は原則として省略できます。ただし、未支給年金や遺族年金の請求は別の手続きになるため、何もしなくてよいとは限りません。
葬儀後は死亡届、火葬、相続、公共料金、保険証などの手続きが重なります。年金は後払いのため、亡くなった月分までの未払いが残ることがあります。一方で、亡くなった日の翌日以後の分を受け取ると、後から返還が必要になる場合もあります。迷ったら年金証書や基礎年金番号がわかるものを手元に置き、年金事務所またはねんきんダイヤルに確認しましょう。
年金手続きの早見表
| 確認すること | 目安 | 主な提出先・確認先 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 年金受給権者死亡届が必要か | 厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内が目安 | 年金事務所、年金相談センター、市区町村窓口 | マイナンバー収録済みなら省略できる場合がある |
| 未支給年金を請求できるか | できるだけ早め | 年金事務所など | 生計を同じくしていた遺族に範囲と順位がある |
| 遺族年金の対象か | 早めに相談 | 年金事務所、市区町村 | 家族構成、加入歴、収入要件で変わる |
| 過払いがないか | 次回振込前後に確認 | 年金事務所 | 死亡日の翌日以後の分は返還になることがある |
まず確認するのは「死亡届」と「未支給年金」
年金関係で混乱しやすいのは、「年金を止める届出」と「未支給年金の請求」が似ていることです。年金を止めるための届出は、亡くなった方が今後受け取る権利を終了させるためのものです。未支給年金の請求は、亡くなった方が生前に受け取るはずだった年金のうち、まだ支払われていない分を、一定の遺族が受け取るためのものです。
日本の公的年金は、原則として偶数月に前2か月分が支払われます。そのため、亡くなった時期によっては、亡くなった月分までの年金がまだ支払われていないことがあります。この分は相続財産として単純に分けるものではなく、日本年金機構が定める未支給年金の請求手続きで扱います。
一方、亡くなった後に振り込まれた年金のすべてが受け取れるとは限りません。亡くなった月分までは未支給年金として扱える可能性がありますが、亡くなった日の翌日以後に対応する分は返還が必要になる場合があります。口座に振り込まれたから使ってよいと判断せず、年金事務所に確認してから扱いましょう。
年金受給権者死亡届が省略できる場合
日本年金機構は、亡くなった方の個人番号、つまりマイナンバーが機構に収録されている場合、原則として年金受給権者死亡届を省略できると案内しています。近年はマイナンバー連携により、死亡情報が確認できるケースが増えています。
ただし、省略できるのは主に死亡届そのものです。未支給年金を請求する、遺族年金を相談する、別制度の年金を受けていた、企業年金や共済年金があるといった場合は、別に手続きが必要になることがあります。「マイナンバーがあるから何もしない」で終わらせず、未支給年金の有無だけは確認しておくと安心です。
また、マイナンバーが未収録の場合や、海外在住、基礎年金番号しかわからない、古い年金証書しか手元にないなどの事情があると、届出や追加確認が必要になることがあります。葬儀後に書類が散らばる前に、年金証書、年金振込通知書、基礎年金番号通知書、通帳を一か所にまとめておきましょう。

未支給年金を受け取れる遺族
未支給年金を受け取れるのは、亡くなった当時にその方と生計を同じくしていた遺族です。日本年金機構は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他3親等内の親族という順で案内しています。同順位の人が複数いる場合は、代表者が請求します。
ここでいう「生計を同じくしていた」は、必ずしも同居だけを意味するわけではありません。別居でも仕送り、介護、生活費の負担など実態がある場合は、書類で説明できることがあります。一方、親族であっても生計同一の実態がない場合は、請求できないことがあります。
必要書類は状況により変わりますが、一般的には亡くなった方の年金証書、戸籍謄本または抄本、住民票の除票、請求者の本人確認書類、口座確認書類などを確認します。戸籍や住民票は亡くなった日より後に交付されたものが必要になる場合があります。先に役所で取得する前に、年金事務所へ必要書類を確認すると取り直しを避けやすくなります。
ケース別の進め方
亡くなった方が老齢年金を受けていた場合は、未支給年金と遺族年金の両方を確認します。配偶者がいる、18歳到達年度末までの子がいる、厚生年金加入歴があるなどの場合は、遺族年金につながる可能性があります。対象かどうかは加入歴と家族構成で変わるため、自己判断で諦めないことが大切です。
亡くなった方が障害基礎年金や遺族基礎年金のみを受けていた場合は、市区町村窓口が提出先になることがあります。厚生年金や複数の年金が絡む場合は、年金事務所に相談する方が確実です。
企業年金、基金、共済、個人年金保険などがある場合は、公的年金とは別の窓口になります。郵便物、通帳の入金名、保険証券、勤務先の退職時資料を確認しましょう。公的年金の手続きだけで完了したと思い込むと、別制度の未請求が残ることがあります。
NG例と注意点
避けたいのは、葬儀後の忙しさで届出を後回しにし、亡くなった後の年金をそのまま生活費や葬儀費用に使ってしまうことです。後で過払いと判断されると返還手続きが必要になり、相続人間の説明も複雑になります。
また、口座が凍結されたから年金手続きもできない、と考える必要はありません。未支給年金は請求者の口座で受け取る形が基本です。亡くなった方の口座を動かすのではなく、請求できる遺族が必要書類を整えて手続きします。
年金証書が見つからない場合も、手続きができないとは限りません。基礎年金番号、マイナンバー、氏名、生年月日、住所などから確認できる場合があります。見つからないまま放置せず、年金事務所へ相談しましょう。
葬儀後に作るチェックリスト
- 年金証書、振込通知書、通帳を探す
- 亡くなった方の年金の種類を確認する
- マイナンバー収録により死亡届が省略できるか確認する
- 未支給年金を請求できる遺族がいるか確認する
- 遺族年金、企業年金、個人年金の有無を確認する
- 次回振込があった場合は、使う前に年金事務所へ確認する
このチェックは、葬儀費用の精算や相続財産の整理にも関わります。喪主だけで抱え込まず、相続人や同居家族と共有しておくと後の説明がしやすくなります。
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