葬儀に蘭(胡蝶蘭)を供花として贈る際のマナーと意味合い:故人への敬意を込めて

葬儀に蘭(胡蝶蘭)を供花として贈る際のマナーと意味合い:故人への敬意を込めて アイキャッチ 供花・弔電

葬儀に蘭(胡蝶蘭)を供花として贈る際のマナーと意味合い:故人への敬意を込めて

「蘭の花」と聞くと、多くの方が華やかで高貴なイメージを抱かれることでしょう。お祝いの席や特別な贈り物として選ばれることが多いため、「葬儀という厳粛な場に贈っても失礼にならないだろうか?」と、蘭、特に胡蝶蘭を供花として贈る際に迷われる方もいらっしゃるかもしれません。お祝いのイメージが強い花を弔いの場に贈ることへのためらいは、ごく自然な感情です。

しかし、実は蘭、とりわけ胡蝶蘭は、葬儀の供花として非常に適した花の一つとされています。その上品で格調高い姿は、故人への深い敬意と哀悼の意を表すのにふさわしく、また、その特性から遺族への配慮にもつながるからです。

この記事では、葬儀に蘭(胡蝶蘭)を供花として贈る際の疑問や不安を解消し、失礼なく、心を込めて弔意を伝えられるよう、その理由から具体的なマナー、選び方、そして込められた意味合いまでを、詳しく解説していきます。

葬儀に蘭(胡蝶蘭)を供花として贈る際のマナーと意味合い:故人への敬意を込めて 挿絵

なぜ蘭(胡蝶蘭)は葬儀の供花として選ばれるのか?

葬儀の供花として蘭、特に胡蝶蘭が選ばれるのには、いくつかの理由があります。単に見た目が美しいというだけでなく、実用性や象徴的な意味合いにおいても、弔いの場にふさわしい特性を備えているのです。

1. 上品で格調高い見た目が厳粛な場にふさわしい

胡蝶蘭の最大の特徴は、その洗練された美しさです。蝶が舞うような優雅な花姿は、どんな場に飾られても品格を損なわず、むしろ厳粛で静かな空間に荘厳さをもたらします。葬儀という、故人を偲び、厳かに祈りを捧げる場において、胡蝶蘭の上品な佇まいは、故人への敬意を表現するのに非常に適していると言えるでしょう。

2. 花持ちが良く、長期間故人を偲ぶのに適している

葬儀で供花を贈る際、故人を偲ぶ期間にわたってその姿を見守ってくれる花であることが望ましいとされます。胡蝶蘭は非常に花持ちが良く、適切な環境であれば数週間から1ヶ月以上も美しい姿を保ちます。これは、遺族が悲しみの中で、故人をゆっくりと偲ぶ時間を持つ上で、大変ありがたい特性です。

3. 花粉や香りが少なく、弔問客への配慮ができる

一般的に、葬儀の場では、香りの強い花や花粉が多い花は避ける傾向があります。これは、弔問客の中には、香りや花粉に敏感な方(アレルギーをお持ちの方など)がいる可能性があるため、配慮が必要です。胡蝶蘭は、花粉が少なく、香りも控えめ、あるいはほとんどないため、弔問客に不快感を与える心配が少なく、安心して贈ることができます。

4. 手入れが比較的簡単で、遺族の負担が少ない

故人が亡くなった後、ご遺族は多くの事務手続きや心身の疲労と向き合わなければなりません。そのような状況下で、手間のかかる供花は負担になりかねませんが、胡蝶蘭は比較的手入れが簡単で、頻繁な水やりを必要としません。そのため、遺族の負担を軽減できるという点も、供花として選ばれる理由の一つです。

5. 「尊敬」「純粋」「幸福が飛んでくる」といった花言葉が弔意を表すのに適している

蘭の花言葉には、「尊敬」「清純」「愛情」「幸福が飛んでくる」などがあります。これらの花言葉は、弔事の文脈においても、故人への深い尊敬の念や、故人の魂が安らかに、そして幸福に旅立っていくことを願う気持ちを表すのに適しています。「幸福が飛んでくる」という言葉は、一見お祝い事のイメージが強いかもしれませんが、これは「あの世での幸福」や「遺族の悲しみが癒え、再び幸福が訪れること」への願いとして捉えることができます。

6. 棘がなく、不吉な意味合いがない

一般的に、葬儀では棘のある花(バラなど)や、縁起が悪いとされる花(菊以外の白い花で、かつては葬儀で使われなかったものなど)は避けることがあります。胡蝶蘭には棘がなく、また、その高貴なイメージから、不吉な連想をさせることもありません。

7. 鉢植えであることの意味合い

供花として贈られる胡蝶蘭は、多くの場合、鉢植えのスタンドタイプです。鉢植えは「根付く」「根付かせる」といった意味合いから、故人の冥福を祈る、あるいは遺族の悲しみが癒え、故人を偲ぶ気持ちが根付くことを願うといった弔事の文脈に合うとされています。この「根付く」という言葉は、故人の魂が安らかに、そして遺族の悲しみが癒えることを願う、というポジティブな意味合いで捉えられています。

葬儀における供花の種類について

供花と一口に言っても、その形態はいくつかあります。蘭(胡蝶蘭)を贈る際にも、どのような形式で贈るのが一般的かを知っておくと良いでしょう。

1. 枕花(まくらばな)

故人が亡くなった直後、ご遺体の枕元に飾られる花のことです。一般的には、ご遺族が近親者だけで行う密葬や家族葬の場合、故人のご自宅や、ご遺体を安置している部屋に飾られます。規模は小さめで、生花のアレンジメントや一対の小さな花束が用いられることが多いです。

2. 供花(きょうか、くげ)

葬儀会場の祭壇に飾られる花のことです。個人や団体(会社、友人一同など)から贈られます。一般的に、スタンド形式で飾られることが多く、ボリュームのあるものが選ばれます。蘭(胡蝶蘭)が供花として贈られる場合、この形式が最も一般的です。

3. 花輪(はなわ)

葬儀会場の外や、祭壇の周りに飾られる、輪になった花です。供花と同様に、個人や団体から贈られます。地域によっては、花輪を飾ることが一般的でない場合もあります。

4. 献花(けんか)

通夜や告別式で、参列者が祭壇に供える花のことです。通常は、指定された白い花(菊やカーネーションなど)が用意されており、参列者が個々に手向けるものです。個人が持参するものではありません。

蘭(胡蝶蘭)を贈る場合、多くは「供花」として、祭壇に飾られるスタンド式のものが選ばれます。

葬儀に蘭(胡蝶蘭)を贈る際のマナーと注意点

蘭(胡蝶蘭)は葬儀の供花として適していますが、贈る際にはいくつか注意すべきマナーがあります。これらを守ることで、失礼なく、心を込めて弔意を伝えることができます。

1. 「供花辞退」の確認を最優先に

近年、家族葬や小規模な葬儀が増加しており、ご遺族が「供花辞退」の意向を示されるケースが増えています。これは、葬儀の形式を簡素にしたい、準備の負担を減らしたい、といったご遺族の様々な思いがあるためです。

供花を贈る前に、まず第一に確認すべきことは、「供花を辞退されていないか」ということです。訃報を受けたら、まずはご遺族やご親族、あるいは葬儀社に、供花や弔電の受け取りについて確認を取りましょう。もし辞退されている場合は、無理に贈ることは避け、お香典を包む、後日弔問に伺う、弔電を打つなどの方法で弔意を表すのが適切です。

2. 宗派・宗教・地域のしきたりへの配慮

供花に関する考え方や習慣は、宗派、宗教、地域によって異なる場合があります。

  • キリスト教式: 献花は行いますが、供花を飾る習慣は一般的ではありません。
  • 神道式: 玉串奉奠(たまぐしほうてん)が中心となります。
  • 仏教式: 供花を飾ることが一般的ですが、宗派によっては特定の色の花を避ける、あるいは花そのものに意味合いを見出す場合もあります。

特に、お祝い事のイメージが強い胡蝶蘭を贈ることに抵抗を感じる方がいらっしゃる可能性も否定できません。不安な場合は、事前に葬儀社や、その宗派・宗教に詳しい方に相談してみるのが良いでしょう。

3. 蘭(胡蝶蘭)の選び方:色と本数

供花として蘭(胡蝶蘭)を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。

色について

  • 白: 葬儀で最も一般的に選ばれるのは、清楚で厳かな「白」の胡蝶蘭です。特に、四十九日法要を終えるまでは、白一色の胡蝶蘭がふさわしいとされています。
  • 紫: 紫色の胡蝶蘭も、高貴な色合いから弔花として用いられることがあります。ただし、白に比べると一般的ではありません。
  • その他の色: ピンクや黄色などの胡蝶蘭は、お祝いのイメージが強いため、弔事には避けるのが無難です。

本数について

胡蝶蘭は、「〇本立ち」という形で販売されていることが一般的です。例えば、3本立ち、5本立ちなどがあります。

  • 3本立ち: 親しい友人や同僚、地域の方などが贈るのに適したサイズ感です。
  • 5本立ち: 親族や、故人と特に親しかった方などが贈る場合に選ばれることが多いです。より立派で、祭壇を華やかに飾ることができます。

故人との関係性や、葬儀の規模、他の供花とのバランスなどを考慮して選びましょう。迷った場合は、葬儀社に相談すると、会場の雰囲気に合ったものを選んでもらえます。

4. 贈るタイミング

供花を贈るタイミングは、早すぎても遅すぎても失礼にあたる可能性があります。

  • 通夜・告別式に間に合わせる: 一般的には、通夜が始まる前、または告別式が始まる前に、葬儀会場に届くように手配するのが最も一般的です。
  • 訃報を受けてから1週間以内: 訃報を受けたら、できるだけ早く手配を始めるのが良いですが、あまりにも早く贈りすぎると、かえって遺族に気を遣わせてしまうこともあります。通夜・告別式の前日までに届くのが理想的です。
  • 葬儀社への確認: 葬儀社によっては、供花の搬入や設置の締め切り時間を設けている場合があります。事前に葬儀社に確認しておくとスムーズです。

5. 立札の書き方

供花には、贈り主の名前を記した立札を添えるのが一般的です。この立札の書き方にも、弔事特有のマナーがあります。

  • 表書き:
    • 「御供」(おんく、ごく)
    • 「供」(く)
    • 「御霊前」(ごれいぜん)※四十九日法要前まで
    • 「御仏前」(おぶつぜん)※四十九日法要後
    • 「御供花」(おんくげ、ごくげ)
    • 「お花料」※キリスト教式の場合

※宗派や時期によって適切な表書きが異なります。迷う場合は、葬儀社やご親族に確認すると良いでしょう。

  • 贈り主の名前:
    • 個人で贈る場合:氏名
    • 夫婦で贈る場合:夫の氏名+妻の名前(例:「〇〇 〇〇 〇〇(妻の名前)」)
    • 会社・団体で贈る場合:会社名・部署名・役職名、代表者の氏名(例:「株式会社〇〇 代表取締役 〇〇 〇〇」)
    • 有志一同で贈る場合:「〇〇一同」と記載し、別途、参加者リストを添えることもあります。
  • 連名について: 友人一同などで贈る場合、全員の名前を書ききれない場合は、「〇〇(代表者名)他〇名」としたり、「〇〇(地域名・団体名)有志一同」などと記載したりします。

立札は、葬儀会場に飾られた際に、誰からの供花であるかが一目でわかるようにするためのものです。失礼のないよう、正確に記載しましょう。

6. ラッピングについて

供花のラッピングは、落ち着いた色合いのものを選びます。一般的には、紫や濃紺、グレーなどの寒色系の包装紙が使われます。リボンは、派手なものは避け、一つだけ結ぶのが一般的です。

7. 鉢植えかアレンジメントか

供花として贈られる胡蝶蘭は、多くの場合、鉢植えのスタンドタイプです。鉢植えは「根付く」「根付かせる」といった意味合いから、故人の冥福を祈る、あるいは遺族の悲しみが癒え、故人を偲ぶ気持ちが根付くことを願うといった弔事の文脈に合うとされています。

ただし、葬儀会場によっては、スペースの都合などから、スタンド式の供花を受け付けていない場合もあります。また、ご遺族の意向で、アレンジメント形式の供花を希望される場合もあります。事前に確認しておくと安心です。

具体的な贈答シーンの例

蘭(胡蝶蘭)を贈るシーンは、主に以下の3つが考えられます。

1. 枕花として

まとめ

葬儀に蘭(胡蝶蘭)を供花として贈る際のマナーと意味合い:故人への敬意を込めてについて迷ったときは、一般的な相場やマナーだけで判断せず、故人との関係性、遺族の意向、地域や宗派の慣習を確認しながら準備することが大切です。

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